日帰り白内障手術とは

日帰り白内障手術のイメージ写真

当院では、日帰り白内障手術を行っています。
同手術は、水晶体が何らかの原因で白濁してしまい、それによる視力低下で日常生活に支障をきたしている場合に行われるもので、主に濁った水晶体を取り除いて、その代わりとなる人工の水晶体(眼内レンズ)を挿入するなどしていきますが、手術の方法としては、水晶体超音波乳化吸引術(PEA)、水晶体嚢外摘出術(ECCE)、水晶体嚢内摘出術(ICCE)の3つがあります。
一般的によく行われているのが、水晶体超音波乳化吸引術(PEA)で、当院もPEAを採用しています。

水晶体超音波乳化吸引術とは

水晶体超音波乳化吸引術では、点眼による局所麻酔下で行われ、白目と黒目の境となる部分に2~3mm程度の切開創を作り、そこに超音波乳化吸引装置を挿入します。
同装置から発生する超音波の振動によって、濁っている水晶体を粉砕し、砕いた水晶体は同じ装置によって吸引されます。
なお摘出するのは水晶体の核となる部分のみで、前嚢の一部と後嚢の部分は残し、摘出した部分に人工の水晶体(眼内レンズ)を挿入することで、手術は終了となります。手術時間は20~30分程度になります。
また手術時は麻酔が効いている状態なので、痛みを感じることは少ないと言われています。

ちなみに術後の見え方については、人それぞれです。
例えば、翌日からクリアに見えるようになったという患者さんもいれば、1週間程度の時間をかけて徐々に見えるようになっていくという患者さんもいるなど個人差あります。

このほか手術後もいくつか注意点があります。
術後1ヵ月程度は週に1回程度の通院が必要とされ、3カ月くらいまでは目薬をさす(点眼)必要があります。
また汗をかく程度の運動に関しては、術後1週間は控えます。
このほか水や汗が目に入らぬよう、術後4~5日目までは顔は拭く程度にしてください。

単焦点眼内レンズと多焦点眼内レンズ

先でも述べましたが白内障手術では、濁った水晶体の代わりになるものとして人工の水晶体(眼内レンズ)を挿入していきます。
このレンズについては、大きく単焦点眼内レンズと多焦点眼内レンズに分けられ、同手術をすることが決まった際にどちらを挿入するか、あらかじめ決めておく必要があります。それぞれの特徴は以下で説明します。

単焦点眼内レンズ

人間の目というのは、水晶体の調節力によって、近くでも遠くでも焦点(ピント)を合わせられるようになります。
しかし単焦点眼内レンズは、近くあるいは遠く、どちらか一方の焦点しか合わせることができません。
焦点が合わない距離につきましては矯正レンズ(近方の距離に焦点が合う方は凹レンズ、遠方の場合は老眼鏡)を使用することになります。

ただ単焦点眼内レンズを選択した場合、手術費用やレンズは保険適用となりますので、費用がそれほどかからないで済むという利点があります。

多焦点眼内レンズとは

白内障手術で多く使用される単焦点眼内レンズはピントが合う距離が1つの眼内レンズです。
遠くにピントが合うようにレンズを挿入した場合、近くではピントが合わず見えづらくなります。
単焦点眼内レンズとは違い、目のピントが合うとされる距離が2つ以上あるレンズのことを多焦点眼内レンズと言います。
この場合、少なくとも近くと遠くの2つの距離に対してピントが合わせられるようになるので、眼鏡を使用する頻度が圧倒的に減るようになります。同レンズは、人の目に近い状態と言えます。

単焦点眼内レンズの見え方単焦点眼内レンズ
多焦点眼内レンズの見え方多焦点眼内レンズ

引用:日本アルコン社

多焦点眼内レンズの注意点
ハロー・グレア
ハロー・グレア・スターバーストの見え方

引用:エイエムオー・ジャパン社

ハロー・グレアとは、白内障手術後に特に夜間の光の見え方に生じる不具合のことです。
ハローは光のまわりに輪がかかったように、グレアは光が花火のように見える現象です。
単焦点眼内レンズでも生じる可能性はありますが、構造上多焦点眼内レンズで多く生じる可能性があります。

コントラスト感度の低下

コントラストとは映像のシャープさや、微妙な濃淡の事をいいます。多焦点眼内レンズは、約15%位のコントラスト感度の低下があると言われています。

通常の見え方 コントラストが低下した見え方

引用:エイエムオー・ジャパン社

当院の多焦点眼内レンズ

当院では国内承認眼内レンズのみ採用しております。

  • テクニス シンフォニー (AMO社)
  • テクニス シナジー (AMO社)
  • クラレオン パンオプティクス (アルコン社)
テクニス シンフォニー(焦点深度拡張型眼内レンズ)
  • 遠くから中間(60cm)にかけて幅広いピントをもつ眼内レンズ
  • コントラスト感度が高く、遠くから中間までの見え方が良い
  • 手元の作業には眼鏡が必要になる可能性がある

⇒詳しくはこちらもご覧ください。

テクニス シナジー(連続焦点眼内レンズ)
  • 遠くから手元(33㎝)にかけて幅広いピントをもつ眼内レンズ
  • 焦点深度拡張型眼内レンズと2焦点眼内レンズを合わせたような構造で手元まで自然な見え方
  • なるべく眼鏡を使用せずに生活をしたい方におすすめ
  • まぶしさ(ハロー・グレア)を感じやすく夜間運転には注意が必要

⇒詳しくはこちらもご覧ください。

パンオプティクス(3焦点眼内レンズ)
  • 遠く、中間(60㎝)、手元(40cm)にピントが合う眼内レンズ
  • 日常生活で多く使用する中間(60㎝)と手元(40㎝)の見え方がよい
  • なるべく眼鏡を使用せずに生活をしたい方におすすめ
  • まぶしさ(ハロー・グレア)を感じやすく夜間運転には注意が必要

⇒詳しくはこちらもご覧ください。

多焦点眼内レンズの費用
選定療養について

多焦点眼内レンズを使用する白内障手術を受ける場合、当院では選定療養の費用となります。
選定療養とは、追加費用を負担することで、保険適用外の治療を保険適用の治療と併せて受けることができる制度です。

自己負担額と保険診療の表

手術にかかる費用は単焦点レンズと同じく健康保険適応となりますが、多焦点眼内レンズにかかる代金は別途自己負担となります。

多焦点眼内レンズの種類 金額
(税込み)
テクニス シンフォニー乱視あり片眼
 220,000円
テクニス シンフォニー乱視なし片眼
 200,000円
テクニス シナジー乱視あり片眼
 320,000円
テクニス シナジー乱視なし片眼
 300,000円
クラレオン パンオプティクス乱視あり片眼
 320,000円
クラレオン パンオプティクス乱視なし片眼
 300,000円